CRISPRa(CRISPR Activation)遺伝子転写活性化
CRISPR activation(CRISPRa)試薬は、ネイティブコンテキストでの過剰発現によって遺伝子の機能を研究するための簡単で効率的なツールです。このシステムを動作させるには、ガイドRNAと触媒活性が不活化されたCas9(dCas9)の2つのコンポーネントが必要です。
デザイン済み CRISPRa ガイドRNA
アルゴリズムで設計されたレンチウイルスベクターおよび化学合成ガイドRNAは、各遺伝子のプロモーター領域を標的としており、遺伝子の転写活性化を誘導します。
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CRISPRa synthetic crRNA(化学合成crRNA)
- 化学合成tracrRNAとのペアで用いて、DNAフリーのCRISPR遺伝子転写活性化を行います。
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CRISPRa lentiviral sgRNA(レンチウイルスsgRNA)
トランスフェクションが困難な細胞におけるCRISPR遺伝子転写活性化実験のための理想的なデリバリー方法です。
CRISPRa dCas9-VPR
3つの転写活性化ドメインに融合したヌクレアーゼ活性を不活化したCas9です。
SAM tracrRNA
化学合成CRISPRa crRNAとともに、SAM活性化システムのコンポーネント(NLS-dCas9-VP64およびMS2-p65-HSF1)を安定発現する細胞株で使用します。
概要
CRISPR-Cas9は、ゲノム二本鎖切断だけでなく、遺伝子の転写活性化または抑制にも使用できます。dCas9-VPRなどの転写活性化因子に融合した触媒活性が不活化されたCas9ヌクレアーゼ(dCas9)を、化学合成またはレンチウイルスタイプのガイドRNAと組み合わせて使用すると、内在性遺伝子の発現を5〜50,000倍以上にアップレギュレートできます。
試薬選択のためのCRISPRaアッセイの考慮事項
dCas9-VPR ソース | ガイドRNAフォーマット | デリバリー方法 | メリットと推奨される使い方 |
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CRISPRa dCas9-VPRレンチウイルス粒子dCas9-VPR安定細胞の形質導入と選択 |
化学合成 crRNA |
トランスフェクション
または エレクトロポレーション |
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レンチウイルスsgRNA粒子 |
形質導入 |
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レンチウイルスsgRNAプラスミド |
トランスフェクション
または エレクトロポレーション |
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dCas9-VPRレンチウイルスプラスミド |
レンチウイルスsgRNAプラスミド |
dCas9-VPRプラスミドとの
コトランスフェクションまたは エレクトロポレーション |
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dCas9-VPR mRNA |
化学合成 crRNA |
コトランスフェクションまたは
エレクトロポレーション |
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ワークフロー
CRISPRa製品は、特定の実験ニーズをサポートするために、いくつかの方法で組み合わせることができます。同時トランスフェクションを行う場合でも、安定したdCas9-VPR細胞株を作成する場合でも(推奨)、化学合成RNA、レンチウイルス粒子、またはグリセロールストック(プラスミド)sgRNAから選択し、dCas9-VPRプラスミドまたはレンチウイルス粒子と組み合わせることができます。